東証プロ市場の大誤算 開設1年で上場ゼロ
6月1日17時38分配信 産経新聞
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インタビューに答える村木徹太郎社長=1日、東京都中央区日本橋兜町のTOKYO AIM(写真:産経新聞) |
東京証券取引所とロンドン証券取引所が共同で設立したプロ向け市場「東京AIM(エイム)」がスタートして1日で1年を迎えたが、上場企業はいまだにゼロで、大誤算に見舞われている。
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海外機関投資家を国内市場に呼び込むための起爆剤と期待されたが、08年秋の金融危機による株価低迷で、IPO(新規株式公開)が冷え込んだ市場環境が主因。上場誘致や審査を担う大手証券会社からは「案件が小さく、割に合わない」との声も出ており、存在意義すら問われかねない事態だ。
「(上場第1号が)いつになるのか分からない。関心を示している企業は増えているはずだが」
東京AIM取引所の村木徹太郎社長はため息をつく。
ロンドン証取の新興市場「AIM」の日本版として設立。海外企業の上場促進に向け、英語での情報開示を認めたり、時価総額など上場時の数値基準をなくすなど、海外の新興企業が容易に上場ができるよう制度設計を図った。一方で、市場参加者はリスク判断ができる機関投資家などに限定した。
取引所の代わりにアドバイザーに指定された大手証券6社が上場誘致、審査を行うが、現状では各社とも消極的だ。
アドバイザーは、上場後も開示情報の審査が求められ、取引量が少ない場合には、自らが市場に参加して、流動性を確保するなど、「負担が大きい」(大手証券)。
市場環境も、金融危機は収まったが、今度はギリシャ財政危機で相場が不安定化。企業の上場意欲は低いままで、予定はいまだにない。
てこ入れに向け、東京AIMでは、企業の資金調達の選択肢を増やすため、社債の上場を検討している。また、アドバイザーに外資系証券や会計事務所を加える方針だ。
村木社長は「(アドバイザーにとっても)、グローバルな投資銀行としての存在感が増すはず」と取り組み強化に期待する。しかし、ここにきて新興市場の上場企業の不祥事も相次いでおり、次から次に逆風が吹き付けてくるというのが実情だ。
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